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「やってみたい」を実現できるまちへ。地域での出会いが挑戦のきっかけ

栃木県真岡市で、まちづくりに取り組む方々の想いを伺うインタビュー!今回は、真岡まちづくりプロジェクト(以下、まちつく)の第1期生で、現在も運営として参加している宇都宮大学1年、金井美雨さんにお話を伺います。

金井 美雨(かない みう)/宇都宮大学地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科1年
上三川町出身。真岡女子高でまちつくの活動を知り、2年生から参加。宇都宮大学に進学後も運営メンバーとして携わる。宇都宮大学サークル「空き家の友」代表。

いろいろな視点が詰まった地域交流


―金井さんの現在の活動について教えてください。

宇都宮大学地域デザイン科学部の1年生で、まちづくりに関することを学んでいます。特に、さまざまな事例から地域づくりを学べる講義が面白く、積極的に参加しています。

サークルでは、宇都宮市宮の原地区の空き家を使って活動する「空き家の友」の代表を務めていて、2か月に1回程度、地域の方向けに空き家でのイベントを開催しています。たとえば、駄菓子の販売やヨーヨー釣り、輪投げや射的を楽しむ「空き家のえんにち」や、小学生の夏休みの宿題を支援する「空き家のてらこや」。老人会の方々を対象にしたスマホ相談会では、老人会のLINEグループができて、喜んでいただくことができました。

そのほか、定期的に福島や群馬を訪れ地域の方々と交流し、学生の力で地域おこしを目指して活動する「D-friends」にも参加。最近では、友達と一緒に季節を楽しむイベントを企画する「四季研究会雅(みやび)」も立ち上げました。いろいろな方法で、地域の方々と関わっています。

―地域での活動のどんなところが魅力ですか?

地域はいろいろな年代の方と交流できるのが楽しいと感じています。普段生活していると、小学生やお年寄りと交流する機会はなかなかありません。もちろん同年代と話すのも距離が近くて楽しいですが、年代が広がるといろいろな視点があります。自分が考えてもいなかったものが出てくるのが面白いですね。

このあいだはスマホ相談会で、あるおばあちゃんが端切れで作った小物入れを見せてくれたんです。ビニール袋を1枚ずつ取り出せるようになっていて、すごいなと思いました。スマホ相談会は私たち大学生がスマホを教える企画でしたが、教えるだけではなく教わることもたくさんあって、それも面白さの一つです。



まちつくでやりたいことを見つけた


―金井さんが地域での活動に取り組むようになったきっかけは?

まちつくに参加したことです!

高校ではJRC(ジュニアレッドクロス)部に入ったのですが、コロナ禍でイベントはほとんど中止。思うように活動できない時期が続きました。そんな2年生のとき、まちつくの募集を見て「やってみよう」と思い、参加することにしたのです。

最初のまちつくでは、公共空間で何をしたいか、ウィッシュポエムを書きました。「カフェをやりたい」と書きましたが、そのときは本当にできるとは思っていなかったんです。でも、まちつくに参加している大人メンバーや大学生の方々と一緒に活動するうちに、外の方々とも連携して本当にやりたいことが形になっていきました。最終的に、キッチンカーをお借りして金鈴荘に高校生カフェを出店し、自分たちで考えたオリジナルドリンクを販売することができました。

当日は寒くて天気には恵まれませんでしたが、同時に開催した箏の演奏会を聞きに来た方々がお店に来てくれたり、友達がドリンクを買いに来てくれたりと、多くの方にご来店いただきました。小さい子が目の前でドリンクを飲んで「おいしい」と言ってくれて、すごく嬉しかったです。自分たちで考えたものを楽しんでくれている姿が印象に残り、達成感がありました。



それまでは、特に将来やりたいことはなく、進路はなんとなく大学の教育学部かな?と思っていました。でも、まちつくの活動の中で宇都宮大学の地域デザイン科学部の大学生の方と関わってまちづくりを学べると知り、この学部に行きたいと思うようになりました。先輩はファシリテーションなどが上手でみんなをまとめるのがうまく、キラキラしていて憧れでした。それでこの学部を受けることに決め、今に至ります。

―まちつくに参加したことが転機になったのですね!高校ではJRC部を選ばれていますが、もともとボランティアや地域活動には興味があったのですか?

意識はしていませんでしたが、そうかもしれません。小学生のころから地域のダンススクールに通っていたので、地域の行事は身近でした。特に毎年夏に上三川町で開かれるお祭りでお囃子をやったことは印象に残っています。訪問者として外から見るのではなくて、演者として地域の中で活動する方が楽しいなと感じていました。


「やってみたい」を一緒にやる仲間ができた


―地域での活動を始めて、金井さん自身に変化はありましたか?

まちつくで自分たちが考えたことが実現する経験をして、「次はもっとこんなことができそうだな」と考えるようになりました。それまではどこかで、できないなら考えても仕方ないと思っている部分がありました。でも、実現できないかもしれないけれど発想してもいいんだなと思えるようになりました。

あとは、自分を出せるようになったと思います。小中学生のころは前に出るのが苦手でした。手を挙げて発表するのも嫌で避けていたくらいです。でも、まちつくでは前に出て発表したりプレゼンしたりする機会がたくさんあって、やっていくうちにそれらが苦ではなくなっていきました。

実は大学も、総合型選抜で受験しています。学力試験に加え、グループディスカッションやプレゼンテーション、面接もあって、総合的な力を問われる受験方法です。大変でしたが、意見を言ってくれる友達や先生に見てもらいながら、苦手だった発表を練習していきました。受かった時は本当にうれしかったです。学校はスマホの持ち込みが禁止なので、昇降口で一人で結果発表を見て。すぐに先生に伝えに行きました!

―おめでとうございました!以前よりも、自分のアイデアや想いを表現しやすくなったのですね。

日常のなかでも、何気ない会話の中でやりたいことを言えるようになりましたね。「流しそうめんやりたいな」とか(笑)。でも言ってみると、一緒にやろうと言ってくれる人がいるんです。やりたいと思ったことを一緒にやってくれる仲間ができました。

サークルで企画するイベントの様子


対等な関係で地域とつながる

―最後に、今後の展望を教えてください。

大学生になっていろいろな地域に出ているうちに、地元とはあまり関わっていないなと感じるようになりました。育ってきたまちだから一番身近だけど、実はよく知らないんですよね。大学2年生はもう少し、地元の上三川町のことを見て関わっていけたらと思っています。

まちつくにも引き続き参加していきたいです。大学生になって運営側として関わるようになると、まちつくは高校生の意見をちゃんと取り入れているなと感じます。行政の方も、私たち大学生や大人のメンバーも、実際に高校生に関われる機会が多いのです。自分が高校生のときは周りも高校生ばかりだから当たり前だと思っていたのですが、高校生が地域で活動できるのは実はすごいことだったんだなと、いま感じています。

高校生が活動することでまちには活気が生まれるし、アイデアや元気をもらえるのではないかと思います。高校生たちも、机に向かっているだけではできない体験ができ、新しいつながりをつくることができます。私自身、特に大学生と出会えたことで、こんなすごい人がいると知って、自分もやってみようと思えるようになりました。挑戦できるきっかけをもらえると思います。

私は、高校生をはじめ、子どもやお年寄り、子育て世代や障害のある方、いろいろな人の目から見て住みやすいまちが、良いまちだと考えています。さまざまな人の意見を聞いて実践する取り組みをしていけると良いですね。「やりたい」と言ったら一緒にやってくれる人が近くにいると楽しくなります。近所づきあいなどのつながりも含めて、住んでいる人がやりたいことを実践できるまちづくりに携われればと思います。

それから、サークル活動などを通して地域のイベントにも積極的に参加していきたいです。普段は自分たちが運営しているイベントなどを提供していますが、参加してくださるお年寄りの方や子どもたちから教えてもらうことも多いです。一方的ではなく、対等な関係でつながっていければと思っています。将来何になりたいかはまだ決まっていませんが、いろいろなことに挑戦する中で、これから見つけていきたいです。

▲最後はちょっとふざけてとリクエストすると、結構な高さで飛んでくれた金井さん

取材、文章、写真:
粟村千愛(地域おこし協力隊


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